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2019.09.02
【税務】「中小企業における消費税の価格転嫁等に関する実態調査」結果
日本商工会議所が8月5日に発表した調査結果では、消費税率を引き上げる際に導入される軽減税率制度を巡り、企業の準備が遅れていることが明らかになりました。対応するレジへの改修について4割が着手していないことが判明しており、他の調査でも、軽減税率に未対応の企業が半数程度に上るというデータが公表されています。このまま10月に入れば現場の混乱は必至で、全国で同時多発的に混乱が生じる可能性が高まり、景気の足を引っ張る事態が懸念されています。
<調査概要>
・調査対象:各地商工会議所管内の会員企業
・回答事業者数:3,305件/3,771件(回収率87.6%)
・調査期間:2019年5月7日(火)~6月7日(金)
・調査方法:経営指導員等によるヒアリング調査
※各データは端数処理(四捨五入)の関係で、合計値が100%とならない場合がある。
【調査結果のポイント】
1.消費税率引上げ後の価格転嫁・価格設定について
・約7割の事業者が「転嫁できる」見込み。前回(2018年7月)調査時と比較すると、「転嫁できる」と見込む事業者の割合が4.3ポイント向上。
・売上高別では、BtoB事業者はいずれも7割超が「転嫁できる」としているものの、BtoC事業者では「1千万円以下の事業者」で約6割と、小規模な事業者は価格転嫁が難しい傾向。
2.軽減税率制度について
・「自社商品が軽減税率に該当するかの確認」について対応済み/対応中と回答した事業者(軽減税率対策に着手している事業者)は約8割を占めている。(図2-1)
・軽減税率対象品目を扱う事業者における「請求書・領収書等の区分記載対応(BtoB事業者)」、「レジの複数税率対応(BtoC事業者)」については、対応済み/対応中と回答した事業者は、いずれも約6割を占めている(図2-2、2-3)。うち、売上高別で見ると、小規模な事業者ほど「未着手」の割合が増加。売上高5千万円以下の事業者では、4割超が「未着手」となっている(図2-4、2-5)。
(※)「未着手」には、軽減税率対策が必要ない事業者(店内飲食のみでテイクアウトを実施していない等)が含まれている
【出典:日本商工会議所「中小企業における消費税の価格転嫁等に関する実態調査」調査結果より】
【軽減税率制度への取り組みに未着手の事業者の声】・増税するかはっきりしてから対応予定(大阪府製造業)・昔からの税理士にすべて任せている(埼玉県飲食業)・現在、レジは使っていない。領収書等もすべて手書きで対応しており、今後もレジの導入予定はない(埼玉県飲食業)・店内飲食のみで、テイクアウトは実施していないので対応不要と考えている(群馬県飲食業)
3.軽減税率導入後の価格表示について
・軽減税率導入後の価格表示は、「総額表示」を選択する事業者が約15%減少。
・テイクアウト・イートインが発生するBtoC事業者においては「総額表示」、「外税表示」のいずれも多様な表示方法等が検討されている。