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2024.11.15
【税務】「全企業向け・中堅企業向け賃上げ促進税制(更新)」が公表
全企業向け・中堅企業向け賃上げ促進税制(法人:令和6年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始される各事業年度が対象、個人事業主:令和7年から令和9年までの各年が対象)の資料、「賃上げ促進税制」御利用ガイドブック 令和6年8月5日公表版、が令和6年10月16日に最終更新されました。
■賃上げ促進税制とは
・賃上げや人材育成への投資を積極的に行う企業に対し、雇用者給与等支給額の前年度からの増加額の一定割合を、法人税額又は所得税額から控除する税制です。
・全企業向け税制、中堅企業向け税制、中小企業向け税制の3種類あり、法人にあっては適用事業年度終了の時、個人事業主にあっては適用を受ける年の12月31日における企業規模に応じて以下のとおり利用可能な税制が異なります(併用はできず、いずれか一つのみの選択適用となります)。
・本ガイドブックは、そのうちの全企業向け税制、中堅企業向け税制のガイドブックとなります。
■全企業向け賃上げ促進税制の概要
【適用対象】
・青色申告書を提出する全法人又は個人事業主
【適用期間】
•法人:令和6年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度
•個人事業主:令和7年から令和9年までの各年
■中堅企業向け賃上げ促進税制の概要
【適用対象】
青色申告書を提出する法人又は個人事業主であり、かつ、法人にあっては適用事業年度終了の時、個人事業主にあっては適用を受ける年の12月31日において常時使用する従業員数が2,000人以下の法人又は個人事業主
※ただし、その法人及びその法人との間にその法人による支配関係がある他の法人の従業員数の合計数が1万人を超えるものを除く。
【適用除外】
●前述に記載のとおり、中堅企業向け税制では、「その法人及びその法人との間にその法人による支配関係がある他の法人の常時使用する従業員数の合計数が1万人を超えるものを除く」こととなっています。
●具体的には、税制を利用しようとする法人(支配法人)が他の法人の支配権を有する場合、適用事業年度終了の時において、当該支配法人と当該法人による支配関係がある法人(被支配法人)の常時使用する従業員数の合計数が1万人を超えていれば、当該支配法人は適用対象から除外されることとなります。
●例えば、下図のようなグループ体制だった場合、各法人が税制の適用対象となるか否かは以下のとおりとなります。
•法人A…法人Aと、法人Aによる支配関係がある法人BB~Fの常時使用する従業員数の合計が1万人超のため、支配法人である法人Aは適用対象から除外されます。
•法人B、D…被支配法人であるため、適用対象となります。
•法人C…法人Cと、法人Cによる支配関係がある法人Fの常時使用する従業員数の合計が1万人超のため、支配法人である法人Cは適用対象から除外されます。
•法人E、F…常時使用する従業員数が2,000人超のため、適用対象から除外されます。
●なお、支配関係がある法人に海外子法人がある場合は、海外子法人の常時使用する従業員数も含めて全体の常時使用する従業員数を算出します。
◇「常時使用する従業員数」の考え方
●「常時使用する従業員数」とは、常用であると日々雇い入れるものであるとを問わず、事務所又は事業所に常時就労している職員、工員等(役員を除く。)の総数を指します。
公益法人等においては、収益事業に従事する従業員数だけでなくその全部の従業員数。
●例えば、以下の者が事業年度終了の時において「常時使用する従業員」に含まれます。個別判断に迷われる場合は税務署にお問合せください。
•事業年度終了の時において、雇用契約を締結している労働者(契約社員、パートタイム労働者、アルバイト、派遣社員、出向者、休職者、日雇労働者を含む)
※ただし、派遣社員や出向者は、雇用契約を締結している事業者においてのみ算入される点に御注意ください。在籍型出向者や兼務者等、2以上の事業者と雇用契約を締結している場合は、いずれの事業に主として従事しているか等の実態により個別に算入先を判断します。
•事業年度終了の時において、法人が繁忙期に数か月程度の期間その労務に従事する者として使用する者の数
【適用期間】
•法人:令和6年4月1日から令和9年3月31日までの間に開始する各事業年度
•個人事業主:令和7年から令和9年までの各年
※控除上限額は、法人税額又は所得税額の20%が上限です。
※上乗せ要件は、①又は②のいずれか一方のみの適用、①及び②の併用、いずれも可能です。
例:必須要件②4%以上+上乗せ要件①+上乗せ要件②→35%の税額控除(最大)
必須要件①3%以上+上乗せ要件②→15%の税額控除
【必須要件】
◇概要
●国内雇用者※1のうち、前事業年度から適用事業年度にかけて継続して雇用される国内雇用者、すなわち継続雇用者について、前事業年度から適用事業年度にかけての給与等※2の増加率を事業者全体で算定し、要件を満たしているか、判定を行います。
●要件を満たしている場合、全ての国内雇用者※1について、前事業年度から適用事業年度にかけての給与等※2の増加額を事業者全体で算出し、当該増加額に税額控除率をかけ、税額控除額を算出します。
※1国内雇用者
●事業者の使用人のうち、その事業者の有する国内の事業所に勤務する雇用者で国内に所在する事業所につき作成された賃金台帳に記載された者をいいます。パート、アルバイト、日雇い労働者も含みます。長期出張等、海外で一時的に勤務をしていた場合でも、国内の事業所で作成された賃金台帳に記載され、給与所得となる給与等の支給を受けている者は、国内雇用者に該当します。
●ただし、使用人兼務役員を含む役員及び法人の役員の特殊関係者又は個人事業主及び当該個人事業主の特殊関係者は含まれません。
•役員:法人の取締役、執行役、会計参与、監査役、理事、監事及び清算人を指します。さらにこれら以外の者で、例えば、①取締役若しくは理事となっていない総裁、副総裁、会長、副会長、理事長、副理事長、組合長等、②合名会社、合資会社及び合同会社の業務執行社員、③人格のない社団等の代表者若しくは管理人、又は④法定役員ではないが、法人が定款等において役員として定めている者のほか、⑤相談役、顧問などで、その法人内における地位、職務等からみて他の役員と同様に実質的に法人の経営に従事していると認められる者も含まれます。
•特殊関係者:法人の役員又は個人事業主の親族等を指します。親族の範囲は6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族までが該当します。また、当該役員と婚姻関係と同様の事情にある者、当該役員から生計の支援を受けている者等も特殊関係者に含まれます。
※2給与等
●俸給・給料・賃金・歳費及び賞与並びに、これらの性質を有する給与(所得税法第28条第1項に規定する給与等)をいいます。現金か商品券かなど、支給の形態は問いません。
残業時間手当や休日出勤手当等の手当についても原則として給与所得となることから、給与等に該当します。なお、退職金など、給与所得とならないものについては、原則として給与等に該当しません。
●ただし、本制度の適用に当たって、賃金台帳に記載された支給額(所得税法上課税されない通勤手当等の額を含む。)のみを対象として計算する等、合理的な方法により継続して給与等の支給額を計算することも認められます。
●給与等に含まれるものの例として、過去にお問合せがあったものの代表例は以下のとおりです。
•事業者がパート従業員の保険負担を軽減するために支給する社会保険適用促進手当(事業者が独自に社会保険に加入済みの従業員に対して支給する場合も含める)
※年収の壁対策として、社会保険適用促進手当を支給した事業者に助成しています。
詳しくは、こちらをご覧ください。
参照ホームページ[経済産業省]