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2022.07.01
【労務】令和4年度の算定基礎届の記入方法等について
健康保険および厚生年金保険の被保険者の実際の報酬と標準報酬月額との間に大きな差が生じないように、7月1日現在で使用している全ての被保険者に4~6月に支払った賃金を、事業主の方から「算定基礎届」によって届出いただき、厚生労働大臣は、この届出内容に基づき、毎年1回標準報酬月額を決定します。これを定時決定といいます。「算定基礎届」により決定された標準報酬月額は、原則1年間(9月から翌年8月まで)の各月に適用され、納める保険料の計算や将来受け取る年金額等の計算の基礎となります。
令和4年度の算定基礎届の提出期限は7月11日(月)となっております。6月中旬より順次様式等が送付されますので、記入後速やかに提出する必要があります。新型コロナウイルス感染症の影響により、上記期限までの提出が難しい場合は、7月12日以降も受付するとのことですが、早期提出への協力を呼び掛けています。なお、受付した届出の処理はできる限り速やかに行うこととしていますが、提出の時期によっては通知書の発送が遅れることもありますので注意が必要です。
また、提出にあたっては手続きの簡素化および迅速化が見込める電子申請が推奨されています。電子申請による届出については、「電子申請・電子媒体申請(事業主・社会保険事務担当の方)」
https://www.nenkin.go.jp/denshibenri/
をご覧ください。また、令和4年度の算定基礎届(定時決定)事務講習会は、会場へ集まることに代えて、算定基礎届事務説明動画やガイドブックをご覧いただくことにより実施するとのことです。
令和4年度算定基礎届事務説明【動画】は、算定基礎届の提出にあたり、記入にかかる基本的な事項から具体的事例、提出方法等についての説明動画となっており、YouTube厚生労働省チャンネルで配信されています。全体版は49分20秒となりますが、ケース別に分割版も用意されています。
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/hoshu/santeisetsumei.html
算定基礎届の記入・提出ガイドブック(令和4年度)
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/hoshu/20121017.files/santei.guide.book-r4nendo.pdf
《ガイドブックの目次》
1.算定基礎届の提出について
(1)提出期間等
(2)ご提出いただくもの
(3)提出の対象となる被保険者の範囲
(4)8月または9月の随時改定に該当する場合
(5)二以上の事業所に勤務する方の届出
(6)短時間就労者(パートタイマー)とは
(7)短時間労働者とは
(8)被保険者本人への通知
(9)その他
2.報酬とは
(1)報酬とは
(2)現物給与の取り扱い
3.標準報酬月額の算出方法および算定基礎届の記入方法
(1)支払基礎日数
(2)ケースごとの標準報酬月額の算出方法と算定基礎届の記入方法
(ケース①)一般的な例
(ケース②)支払基礎日数に17日未満の月があるとき
(ケース③)短時間就労者(パートタイマー)の記入例
(ケース④)短時間労働者の記入例
(ケース⑤)給与の支払対象となる期間の途中から入社したとき
(ケース⑥)賞与などが年4回以上支給されたとき
(ケース⑦)一時帰休による休業手当が支給されているとき
(ケース⑧)一般的な方法では算定できないとき
(ケース⑨)一般的な方法で算定すると著しく不当になるとき
4.随時改定と月額変更届
(1)月額変更が必要なとき
(2)固定的賃金の変動とは
(3)随時改定の対象とならない場合
月額変更届の記入例
5.賞与支払届
(1)標準賞与額の対象となる賞与
(2)標準賞与額とは
算定基礎届(定時決定)におけるよくあるご質問と回答
厚生労働大臣が定める現物給与の価額
令和2年9月分からの厚生年金保険料額表
従業員数500人以下の事業主のみなさまへ
また、「標準報酬月額の定時決定及び随時改定の事務取扱いに関する事例集」ではQ&A形式での具体例が15ページにわたって掲載されています。
いくつか抜粋してご紹介します。
https://www.nenkin.go.jp/service/kounen/hokenryo/hoshu/20121017.files/jireisyu.pdf
問:「報酬」・「賞与」にはどのようなものが含まれるか。
(答)「報酬」及び「賞与」(以下「報酬等」という。)は、健康保険法第3条第5項及び第6項(厚生年金保険法第3条第1項第3号及び第4号)において「労働者が、労働の対償として受けるすべてのもの」と規定されており、労働の対償として経常的かつ実質的に受けるもので、被保険者の通常の生計に充てられるすべてのものを包含するものである(『健康保険法の解釈と運用』(法研)より)。
具体的事例
①現実に提供された労働に対する対価に加え、給与規程等に基づいて使用者が経常的(定期的)に被用者に支払うものは、「報酬等」に該当する。労働
の提供と対償の支払が時間的に一致する必要はなく、将来の労働に対するものや、病気欠勤中や休業中に支払われる手当であっても労働の対償となり、
「報酬等」に該当する。また、雇用契約を前提として事業主から食事、住宅等の提供を受けている場合(現物給与)も「報酬等」に含まれる。
【例】賃金、給料、俸給、賞与、インセンティブ、通勤手当、扶養手当、
管理職手当、勤務地手当、休職手当、休業手当、待命手当
②労働の対償として受けるものでないものは、「報酬等」に該当しない。
【例】傷病手当金、労働者災害補償保険法に基づく休業補償、解雇予告手当、退職手当、内職収入、財産収入、適用事業所以外から受ける収入
(注)退職手当は、毎月の給与や賞与に上乗せして前払いされる場合、被保険者の通常の生計に充てられる経常収入と扱うことが妥当であり、「報酬等」
に該当する。
③事業主が負担すべきものを被保険者が立て替え、その実費弁償を受ける場合、労働の対償とは認められないため、「報酬等」に該当しない。
【例】出張旅費、赴任旅費
④事業主が恩恵的に支給するものは労働の対償とは認められないため、原則として「報酬等」に該当しない。
【例】見舞金、結婚祝い金、餞別金
⑤恩恵的に支給するものであっても、労働協約等に基づいて支給されるもので、経常的(定期的)に支払われる場合は、「報酬等」に該当する。
【例】傷病手当金と給与の差額補填を目的とした見舞金
⑥労働の対償として支給されるものであっても、被保険者が常態として受ける報酬以外のものは、「報酬等」に含まれない(支給事由の発生、支給条件、
支給額等が不確定で、経常的に受けるものではないものは、被保険者の通常の生計に充てられるものとは言えないため)。ただし、これに該当するものは極めて限定的である。
【例】大入袋
※ここで挙げた【例】は一般的な場合を想定しており、その名称だけでなく、実態に合わせて「報酬等」に該当するかどうか判断を行うものとする。
問:一つの適用事業所に勤務している被保険者が、別の適用事業所に勤務(同時に2つの事業所に勤務)することとなって新たな適用事業所において被保険者資格を取得した場合、どの時点から標準報酬月額を改定するのか
(答)新たに別の適用事業所で被保険者資格を取得した場合、その事業所における報酬月額を健康保険法第42条(厚生年金保険法第22条)に従って算定し、健康保険法第44条第3項(厚生年金保険法第24条第2項)の規定に基づいて合計額としての報酬月額を算定する。その際、既に被保険者資格を取得している側の事業所においては、既に決定されている標準報酬月額の基礎となった報酬月額を用いる。
また、健康保険法施行規則第1条、第2条及び第37条(厚生年金保険法施行規則第1条及び第2条)において、同時に2以上の適用事業所に使用されることとなった日から10日以内に、管掌保険者の選択とそれに伴う届出を行うこととされており、新たに別の適用事業所に使用されることとなった月から標
準報酬月額を決定する。
問:産休又は育休取得中の無給期間において昇給等があった場合、起算月はいつになるか。
(答)産休等の無給期間中に固定的賃金に変動があった場合には、実際に変動後の報酬を受けた月を起算月として改定することとなる。また、昇給等による固定的賃金の変動後に、給与計算期間の途中で休業に入ったこと、又は給与計算期間の途中で復帰したことにより、変動が反映された報酬が支払われているものの、継続した3月間のうちに支払基礎日数17日未満となる月がある場合については、随時改定の対象とはならない。なお、これらは育児休業等を終了した際の改定を妨げるものではない。
その他にも実務に役立ちそうなQ&Aが多数掲載されておりますので、一度ご確認いただくことをお勧めいたします。
詳しくは、こちらをご覧ください。
参照ホームページ[日本年金機構]
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2022/202205/0520.html