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2025.03.03

【税制】令和7年税制改正大綱の基本的な考え方

税制は社会のあり方に密接に関連するものであり、今後とも格差の固定化につながらないよう機会の平等や世代間・世代内の公平の実現、簡素な制度の構築といった考えのもと、不断の見直しを行わなければなりません。

あわせて、「経済あっての財政」との考え方の下、経済を立て直し、そして財政健全化に向けての取り組みの中で、経済成長を阻害しない安定的な税収基盤を築き、危機に対して強靭な経済・財政の実現を目指す必要があります。

令和7年度税制改正では「賃上げと投資がけん引する成長型経済」への移行に対応しまたそれを発展させていくための税制改正を最重点事項としています。

以下、令和7年度税制改正の主要項目及び税制改正にあたっての基本的な考え方をご紹介いたします。

(1)控除について

・基礎控除

足元では物価が上昇傾向にあり、今後も一定の上昇が見込まれる。物価上昇局面における税負担の調整の観点から、所得税の基礎控除の額を現行の最高48万円から最高58万円に10万円、20%程度引き上げる

・給与所得控除

給与所得控除については、物価の上昇とともに賃金が上がれば、控除額も増加するが最低保証額が適用されていれば、収入が増えても控除額は増加しない。そのため就業調整にも対応する観点から、最低保証額を現行の55万円から65万円に引き上げる

また、目下の厳しい人手不足の状況において、特に大学生のアルバイトの就業調整について、税制が一因となっているとの指摘がある。このため、19歳から22歳までの大学生年代の子等の合計所得金額が85万円(給与収入150万円に相当)までは、親等が特定扶養控除と同額(63万円)の所得控除を受けられ、また、大学生年代の子等の合計所得金額が85万円を超えた場合でも親等が受けられる控除の額が段階的に逓減する仕組みを導入する。

さらに、扶養親族及び同一生計配偶者の合計所得金額に係る要件について、現行の基礎控除と同額の48万円を、基礎控除の引上げを踏まえ、58万円とする

(2)スタートアップ税制について

イノベーションをけん引するスタートアップの創出により経済成長を加速するため、スタートアップ・エコシステムを抜本的に強化していく。

・エンジェル税制

スタートアップへの再投資をより促進する観点から、譲渡益発生年の翌年にスタートアップ投資を行った場合に、譲渡益発生年に遡って投資額に相当する金額を譲渡益から控除する繰り戻し還付制度を創設する。

・ストックオプション税制

信託等を利用することで本税制の要件を満たさずに同じ税優遇効果を生むスキームに対して、適正化を図る措置を講ずる。

(3)法人税の在り方について

法人税については、これまで現預金を大きく積み上げてきた大企業を中心に企業が国内投資や賃上げに積極的取り組むよう、法人税率を引き上げつつターゲットを絞った政策対応を実施するなど、メリハリある法人税体系を構築していく。

税制のみならず、予算や制度改正等の様々な政策手段を総動員して国内投資を促し、持続的な経済成長に向けた動きを取引先の中小企業も含め広く経済社会全体に波及させていく。

(4)中小企業の税制等について

地域経済を支える中小企業を後押しする税制については、売上高100億円超を目指す成長意欲の高い中小企業が思い切った設備投資を行うことができるよう、中小企業経営強化税制を拡充し、対象設備に建物を加える。

中小企業の800万円までの所得に適用される軽減税率の特例は、今般の賃上げや物価高への対応に直面している中小企業の状況を踏まえ、適用期限を2年延長するが、極めて所得が高い中小企業については一定の見直しを行うとともに、特例税率が設けられた経緯等を踏まえ、次の適用期限の到来時に改めて検討する。

生産性向上や賃上げに資する中小企業の設備投資に係る固定資産税の課税標準の特例措置については賃上げを後押しするよう見直しを行った上、その適用期限を2年に限り延長する。

(5)個人所得課税の在り方について

働き方が多様化する現代において、税制が老後の生活や資産形成を左右しない仕組みを作ることが重要である。

こうした考えの下、勤務先の企業が企業年金を設けているかどうか、企業年金の形態がどうであるかといった違いに関わらず、iDeCoの拠出額限度について「穴埋め型」による引上げを行う。

また、退職金課税については勤務年数が20年を超えると1年あたりの退職所得控除額が増加するといった仕組みがあり、転職が増加している現代に対応していないという指摘があるため、あるべき方向性や全体像の共有を深め、具体的な案を検討していく。

高齢者の就業意欲を削ぐとの指摘がある「在職老齢年金制度」については、公平性の確保という観点から、見直しが行われた場合には、公的年金収入が増加する者にはその年金収入の増加と併せて手取りが減少しない範囲で、また見直しによって年金収入に変化がない者については影響が生じない形で、税負担額の調整を行う。

具体的には、給与所得控除と公的年金等控除の合計額の上限を280万円とすることとし、在職老齢年金制度の見直しの帰趨を踏まえ、令和8年度税制改正において法制化を行う。

子育て支援に関する税制については、令和8年分所得税において、生命保険料控除における新生命保険料に係る一般枠(遺族保障)について、23歳未満の扶養親族を有する場合には、現行の4万円の適用限度額に対して2万円の上乗せ措置を講ずる。なお、一般生命保険料控除、介護医療保険料控除及び個人年金保険料控除の合計適用限度額については、現行の12万円から変更しない。

一時払い生命保険については、2万円の上乗せ措置を時限的に講じている間は控除の適用対象から除外しないこととする。

詳しくは、こちらをご覧ください。

参照ホームページ[自由民主党]

https://storage2.jimin.jp/pdf/news/policy/zeisi_2025.pdf

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