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2024.06.19
【労務】令和7年4月1日から施行・建設業における安全衛生対策について
「労働安全衛生規則等の一部を改正する省令(令和6年厚生労働省令第80号)が令和6年4月30日に公布され、令和7年4月1日から施行されることになっています。この改正は、建設業における安全衛生対策について、次のように保護措置の対象の拡大を図るものです。
●事業者が行う退避や立入禁止等の措置について、次の①②を対象とする保護措置を義務付ける。
①危険箇所等で作業に従事する労働者以外の人
②危険箇所等で行う作業の一部を請け負わせる一人親方等
厚生労働省では、その改正のポイントをまとめたリーフレットを作成し、周知を図っています。
労働安全衛生法に基づく省令改正により、作業を請け負わせる一人親方等や、同じ場所で作業を行う労働者以外の人に対しても、労働者と同等の保護が図られるよう、必要な措置(※)を実施することが事業者に義務付けられます。
※労働安全衛生法第20条、第21条及び第25条、第25条の2に関して定められている以下の4つの省令で、作業場所に起因する危険性に対処するもの(退避、危険箇所への立入禁止等、火気使用禁止、悪天候時の作業禁止)について事業者が実施する措置が対象です。
・労働安全衛生規則
・ボイラー及び圧力容器安全規則
・クレーン等安全規則
・ゴンドラ安全規則
■法令改正等の主な内容
1:危険箇所等において事業者が行う退避や立入禁止等の措置の対象範囲を、作業場で何らかの作業に従事する全ての者に拡大
危険箇所等で作業を行う場合に、事業者が行う以下の措置については、同じ作業場所にいる労働者以外の人(一人親方や他社の労働者、資材搬入業者、警備員など、契約関係は問わない)も対象にすることが義務付けられます。
⚫労働者に対して危険箇所等への立入禁止、危険箇所等への搭乗禁止、立入等が可能な箇所の限定、悪天候時の作業禁止の措置を行う場合、その場所で作業を行う労働者以外の人もその対象とすること
⚫喫煙等の火気使用が禁止されている場所においては、その場所にいる労働者以外の人についても火気使用を禁止すること
⚫事故発生時等に労働者を退避させる必要があるときは、同じ作業場所にいる労働者以外の人も退避させること
2:危険箇所等で行う作業の一部を請け負わせる一人親方等に対する周知の義務化
危険箇所等で行う作業の一部を請負人(一人親方、下請業者)に行わせる場合には、以下の措置が義務づけられます。
⚫立入禁止とする必要があるような危険箇所等において、例外的に作業を行わせるために労働者に保護具等を使用させる義務がある場合には、請負人(一人親方、下請業者)に対しても保護具等を使用する必要がある旨を周知すること
【重要】
今回の改正で請負人への保護具等の使用に係る周知が義務付けられるのは、立入禁止とする必要があるような危険箇所で例外的に作業を行わせる場面に限られますが、それ以外の場面であっても、
①作業に応じた適切な保護具等を労働者に使用させることが義務付けられている場面
②特定の作業手順や作業方法によって作業を行わせることが義務付けられている場面
については、事業者が作業の一部を請け負わせた請負人に対して、保護具等の使用が必要である旨や、特定の作業手順、作業方法によらなければならない旨を周知することが推奨されます。
【注意事項】
■重層請負の場合は誰が措置義務者となるか
《危険箇所等において事業者が行う退避や立入禁止等の措置》
危険箇所等における立入禁止等の措置は、個々の事業者が当該場所において措置すべきものです。
しかしながら、危険箇所等における作業を重層請負により複数の事業者が共同で行っている場合等、同一場所についてこれらの義務が複数の事業者に課されているときは、立入禁止の表示や掲示
を事業者ごとに複数行う必要はなく、元方事業者がまとめて実施するなど、共同で表示や掲示を行っても差し支えありません。
《危険箇所等で行う作業の一部を請け負わせる一人親方等に対する周知》
事業者の請負人に対する周知は、個々の事業者が請負契約の相手方に対して措置すべきものです。 三次下請まで作業に従事する場合は、一次下請は二次下請に対する義務を負い、三次下請に対する義務はありません。二次下請が三次下請に対する義務を負います。
■作業の全部を請け負わせる場合にも措置が必要となるか
事業者が作業の全部を請負人に請け負わせるときは、事業者は単なる注文者の立場にあたるため、この作業は事業者としての措置義務の対象となりません。
■元方事業者が実施すべき事項
労働安全衛生法第29条第1項・第2項で、関係請負人が法やそれに基づく命令(今回改正の4省令を含む)の規定に違反しないよう必要な指導を行わなければならないこと、違反していると認めるときは必要な指示を行わなければならないことが規定されています。今回の改正で義務付けられた措置を関係請負人が行っていない場合は、「必要な指導・指示」を行わなければなりません。
■周知の方法
周知は以下のいずれかの方法で行ってください。
周知内容が複雑な場合等は、①~③のいずれかの方法で行ってください。
①常時作業場所の見やすい場所に掲示または備えつける
②書面を交付する(請負契約時に書面で示すことも含む)
③磁気テープ、磁気ディスクその他これらに準ずる物に記録した上で、
各作業場所にこの記録の内容を常時確認できる機器を設置する
④口頭で伝える
■請負人等が講ずべき措置
事業者から必要な措置を周知された請負人等自身が、確実にこの措置を実施することが重要です。
また、一人親方が家族従事者を使用するときは、家族従事者に対してもこの措置を行うことが重要です。
労働者以外の人も立入禁止や喫煙、火気使用の禁止を遵守しなければなりません。
詳しくは、こちらをご覧ください。
参照ホームページ[厚生労働省]
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/001811421.pdf