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2023.03.01
【労務】障害者雇用率を段階的に引き上げる方針-民間企業では令和8年度に「2.7%」へ
厚生労働省から、令和5年1月18日開催の「第123回労働政策審議会障害者雇用分科会」の資料が公表されています。今回の議題に、「障害者雇用率について(案)」が含まれており人事担当者は確認しておくべき内容となっています。前提として、障害者雇用促進法に基づき、労働者(失業者を含む)に対する対象障害者である労働者(失業者を含む)の割合を基準とし、少なくとも5年毎に、その割合の推移を勘案して設定することとされています。さらに現行の雇用率は、平成30年4月からの雇用率として設定されており、令和5年度からの雇用率を設定する必要があることとなっています。
■令和5年度からの障害者雇用率の設定等について
1.新たな雇用率の設定について
・令和5年度からの障害者雇用率は、2.7%とする。
ただし、雇入れに係る計画的な対応が可能となるよう、令和5年度においては2.3%で据え置き、令和6年度から 2.5%、令和8年度から2.7%と段階的に引き上げることとする。
・国及び地方公共団体等については、3.0%(教育委員会は2.9%)とする。
段階的な引上げに係る対応は民間事業主と同様とする。
2.除外率の引下げ時期について
・除外率を10ポイント引き下げる時期については、昨年6月にとりまとめられた障害者雇用分科会の意見書も踏まえ、雇用率の引上げの施行と重ならないよう、令和7年4月とする。
3.事業主向けの支援について
・先の臨時国会で成立した障害者雇用促進法に基づき、令和6年4月から、
・雇入れに必要な一連の雇用管理に対する相談援助の助成金が創設される予定。
特に、中小企業や除外率設定業種に対しては、助成金の上乗せ等を行うことや既存助成金の拡充により、雇用率の引上げや除外率の引下げの影響を受ける事業主への集中的な支援を行うことを通じて雇入れや定着支援の充実等を検討。(※令和6年度からの制度の詳細は、次回以降の分科会で議論予定。)
・あわせて、特に短い労働時間(週10~20時間)で働く重度の身体障害者・知的障害者や精神障害者の実雇用率への 算定が可能となる。
・この他、
①昨年9月に、都道府県労働局に対し、雇用率未達成企業の増加や、除外率設定業種における雇用障害者の不足の増加が見込まれることから、ノウハウが不足している障害者雇用ゼロ企業等に対し、ハローワークが、地域障害者職業センター等の関係機関と連携し、採用の準備段階から採用後の職場定着まで一貫したチーム支援等を実施することなど、障害者の雇入れ支援等の一層の強化を図ることを指示するとともに、
②令和5年度予算案では、就職支援コーディネーター(ハローワークにおいて企業に対するチーム支援に取り組む者)の増員、障害者の雇入れや定着支援を行う障害者就業・生活支援センターの人材確保や支援力の強化を図るため、就業支援担当者の処遇の改善を盛り込んでいる。
■障害者雇用率の検討に要する数値の調査結果について
【身体障害者】
1.常用雇用身体障害者数39.4万人
2.常用雇用短時間身体障害者数3.5万人
3.失業身体障害者数9.2万人
【知的障害者】
4.常用雇用知的障害者数16.5万人
5.常用雇用短時間知的障害者数3.4万人
6.失業知的障害者数4.3万人
【精神障害者】
7.常用雇用精神障害者数9.4万人
8.常用雇用短時間精神障害者数3.3万人
9.失業精神障害者数12.9万人
※厚生労働省職業安定局調べ
■障害者雇用納付金及び障害者雇用調整金の額の設定の基準となる数値の算定について
○単位調整額の算出根拠の概要
障害者雇用納付金(以下「納付金」という。)に係る調整基礎額については、基準雇用率に達するまで身体障害者、知的障害者又は精神障害者(以下「対象障害者」という)を雇用するものとした場合(①)に、また、障害者雇用調整金(以下「調整金」という。)に係る単位調整額については、基準雇用率を超えて対象障害者を雇用した場合(②)に、それぞれ対象障害者1人につき通常必要とされる1か月当たりの特別費用(対象障害者を雇用するために特別に必要とされる費用)の額の平均額を基準として定める旨規定されている。
実態調査に基づき、平均的規模の企業をモデルとして①及び②の特別費用を算出すると、調整基礎額(納付金)及び単位調整額(調整金)は次のとおりである。
*調整基礎額(納付金)=49,494円≒50,000円
*単位調整額(調整金)=29,532円≒29,000円
■報奨金の額の設定の基準となる数値の算定について
○報奨金額の算定の根拠
納付金制度に係る報奨金額については、調整金に係る単位調整額以下の額で厚生労働省令で定めることとされている。(法附則第4条第3項)実態調査に基づき、雇用率の達成、未達成に関係なく、現在の報奨金の支給基準を満たす企業における身体障害者、知的障害者又は精神障害者1人の雇用に伴う1か月当たりの特別費用額の平均を求めると44,279円となる。
次に、調整金と報奨金の整合性をとる必要があることから、調整金を決定する際に基準となるべき額と調整金の単価の割合を計算し、また、納付金を納めていない企業で障害者を多数雇用している企業の特別費用の一部の負担の調整を図るという観点からこの額を2で除した額としている。
したがって、報奨金額は次のとおりである。
*報奨金額
日本では企業に対して障害者雇用が義務付けられていますので、企業経営者の方や人事担当者の方は法律をきちんと理解し、義務達成のために様々な対応をする必要があります。障害者の雇用や雇用管理のための施設整備を行う事業主は、国からの助成金を受け取ることができますので、活用していくことをお勧めいたします。
詳しくは、こちらをご覧ください。
参照ホームページ[厚生労働省]